ダン・ブラウンの小説「インフェルノ」にも登場するイスタンブールの地下に眠る幻想的な「イスタンブル地下宮殿」

地下宮殿3
photo by Quinn Dombrowski

「宮殿」の大きさは幅が65メートル、長さが138メートル。336本の大理石の円柱が煉瓦造りの天井を支えています。これによって78,000m³の水を貯えることができました。現存する東ローマ帝国の貯水槽としては最大のものと言われています。

 
地下宮殿4
photo by andhotel.com

この非日常的な空間は作品の舞台にもぴったりです。古いところでは1964年に日本で公開された、ジェームズ・ボンドの映画『007 ロシアより愛をこめて』の撮影場所として使われました。最近では、2013年に発表された、ベストセラー作家ダン・ブラウンの「インフェルノ」のクライマックスシーンで重要な役割を果たしています。「インフェルノ」効果か、ここ数年ここを訪れる愛読者が増え続けているとのこと。

 
地下宮殿の柱1
photo by Justin A. Wilcox

この建物、もとはといえば単なる水槽としての役割を果たせば良かっただけなので、美的効果などはまったく意識されずに造られました。帝国各地の神殿の柱、それも流行遅れの在庫処分品や半端物が集められたため、デザインもさまざまです。見た者を石に変えてしまうというギリシャ神話に登場する怪物メデューサ。その顔が彫られた石の塊は、高さ調節のための柱の土台にされてしまいました。このメデューサ、「インフェルノ」で重要な役目を果たしますね。

 
地下宮殿の柱2
photo by Ming-yen Hsu

横向きのメデューサもあります。これらのメデューサの向きには諸説あり、単なる高さ調整ではなく、その魔力を封じこめるためだとか、ローマ文明がギリシャ文明を征服したことの証しであるとか言われています。

 
地下宮殿の涙柱
photo by Quinn Dombrowski

こちらは「涙の柱」と呼ばれる柱。こんなデザインの柱はこの1本だけ。デルフィ島のアポロン神殿から持ってこられたものだと言われています。メデューサによって石に変えられた人をもとに戻すことができるのはメデューサの涙だけ。そのためこの柱はいつも濡れていると言われています。この模様にも諸説があり、メデューサの涙、孔雀の羽の目玉模様、トルコのお守りナザール・ボンジュではないかとも言われています。この柱には穴が一つ空いており、ここに親指を入れて、そこを中心に残りの指をコンパスのようにぐるっと360度まわせたら願い事がかなうと言われています。

 

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