伝統的な和風旅館にさりげなく潜むモダンが魅力の温泉宿「ふきや」

和風旅館の意匠は余計なものは極力省くシンプルさが基本でしょう。しかし、ラグジュアリーな宿や、名建築の宿が増えてくるにつれ、それだけでは物足りないと感じるのも事実です。ふきやは、本来は異素材でありながら和に調和した優れた意匠の椅子や、和の神髄をモダンに表現した灯りをさりげなく配置することで、不思議に共鳴し現代的な空気感を醸し出すことに成功しています。

ふきや

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photo by ikyu.com

湯河原のメインストリートである県道75号線を奥湯河原に向かい数分。
 
右側に山肌が迫り始めたところで、右折すると急峻な坂道に入ります。石垣にツタが絡み、その上にアイボリーの建物が見えたら、それが「ふきや」です。
 
建物は玄関側から受ける印象よりも大きな建物で、高台の斜面に沿って建てられており南側には景観が開けます。
 
御影の敷石と連子(れんじ)格子が美しい車寄せを抜け玄関をくぐり、純和風旅館らしく靴を預け館内に入ります。
 

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3階が地上階にあたり、ここにロビーが設けられています。
 

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和風建築の技巧がさりげなく生かされており、上り框(かまち)は木のぬくもりが優しい名栗、天井は京都御所にも使われているという漆喰のパラリ仕上げです。堀木エリ子氏による和紙を通した柔らかい灯りがこれらを優しくまとめ上げています。
 

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お部屋は全20室。近年ベットルームを設けたお部屋も設けられましたが、すべて数寄屋風でまとめられています。
 

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お部屋のほとんどが宿の南側に配置されて、いずれのお部屋からも十国峠の山並みを望め伊豆の風情が楽しめます。
 

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室内は江戸からかみと思われるシンプルで味わいのある襖に、お部屋にアクセントを加える屏風も置かれます。床の間のには季節を表す掛軸や草花があしらわれ静寂が漂い、日本旅館の神髄を味わえます。
 

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一方、お部屋によっては広めの広縁に、北欧デザインのモダンな椅子が置かれています。数寄屋のお部屋にとっては異素材でありながら、心地よい共鳴の波紋を広げています。
 

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純和風とはいえ「ここでの過ごし方はあなた次第ですよ」と椅子に言われているようです。備えられたミュージックプレーヤーや、貸し出しして頂けるお香で自分なりの空間にして寛ぎましょう。
 

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お部屋のタイプがアルファベットで分類され、解りやすいのもこのお宿の特徴でしょう。
 
「A-TYPE」、「X-TYPE」と呼ばれるスイートクラスの4部屋は、二村和幸氏の手による物でモダンな印象の欄間が印象的。浴室には温泉が供給されており、香り豊かな檜の湯船でさらに贅沢な時間が過ごせそうです。
 

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さらに、この宿で誰もがうなるのは、屋上に設けられた二つの貸切露天風呂。
 
檜のシンプルな湯船を中心とした優れた意匠はもちろんですが、頭上に遮るものが何もないこの空間での湯浴みは、ちょっと他では味わったことがない開放感です。特に奥に設けられた貸切露天風呂は湯船の大きさも加わり想像を超えるくつろぎが味わえます。
 

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時間制の貸切であるのは少々残念ですが、空いていれば利用することが出来ますし、利用のたびにスタッフが清掃して頂けるので、入るたびに清々しささえ感じます。
 

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その他、1階に大浴場が2つ、3階に円形の檜風呂と眺望が楽しめる貸切露天風呂1つと合計5つの浴場が備わります。
 
大浴場は部屋数から想像するより遙かに大きなパウダールームと湯船で、他のゲストに気を使う必要を感じさせません。
 

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いずれの大浴場も、美しい庭の一部となった岩露天風呂が設けられ、さらに湯浴みのバリエーションを広げてくれます。
 
湯上がりには、お部屋からフロントにお電話してみましょう。体の火照りを癒やしてくれるビールやかき氷をお部屋に用意して頂けます。
 
その他、就寝前のお夜食、朝食前にロビーで提供されるコーヒーなど、このお宿で口寂しく感じることは無いでしょう。
 

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夕食はお部屋で自分のペースで楽しめます。
 
料理旅館とも言えるこの宿は、伊豆の厳選された素材に加え、例えば煮物にフォアグラ、酢の物にキャビアなどモダンな高級食材を加えた懐石の品々が一品ごとに饗されます。
 
お腹に余裕があれば、強肴として近海の鮑や金目などの海鮮しゃぶしゃぶ、等級付きの和牛料理などの品を追加でお願いすることも出来ます。
 

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時節を写した器に、時には八寸などに和歌の短冊なども添えられ美しさの中にも粋を感じます。お品書きにはお料理の詳しいエピソードも書き添えられており、知的な愉しみも加わります。
 

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朝食では、お米、味噌、豆腐、海苔と言った基本の4素材へのこだわりが伝わってきます。
 
もちろんだし巻きや名産の干物、さらに朝食では珍しい相模湾の新鮮なお造りが添えられる事もあり、朝餉に懐石の豪奢さを加えてくれます。
 

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館内の寛げそうな空間には、アンティークも含まれるという北欧デザインの優れた椅子や、堀木エリ子氏の和紙照明が置かれています。
 
和紙でありながらモダンな陰影をもたらす優しい灯りはこの宿の心を写しているようです。
 
和風旅館の意匠は余計なものは極力省くシンプルさが基本でしょう。しかし、ラグジュアリーな宿や、名建築の宿が増えてくるにつれ、それだけでは物足りないと感じるのも事実です。
 

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しかしこのお宿は、本来は異素材でありながら和に調和した優れた意匠の椅子や、和の神髄をモダンに表現した灯りをさりげなく配置することで、不思議に共鳴し現代的な空気感を醸し出すことに成功しています。
 

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記事提供・協力:一休.com
<宿の基本情報>
ふきや(神奈川県/湯河原) [全20室]
所在地:〒259-0314 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上398
アクセス:湯河原駅よりタクシーで8分


 
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