ラクダで渡るサハラ砂漠1泊ツアー
砂漠ツアーの出発は、モロッコの南西部に位置するメルズーガ。砂漠の外れに位置する小さな茶色の街です。
防寒着やカメラなどの必要最低限の荷物を持ってラクダに乗り込みます。
しばらくは固い地面の上を進みましたが、次第に足元が柔らかくなり、砂の大地へと変わっていきました。
奥へ奥へと進みます。ラクダ率いるガイドさんは、徒歩で一歩一歩ゆっくりと進みます。そのペースに合わせて、ラクダもゆっくりと進みます。
目線の先までずっと続く足跡とタイヤの跡を追うように、ガイドさんはただ黙々と先を進みます。
しばらく見えていたバギーのタイヤの跡や足跡がだんだんとなくなってきました。
周りの空気はしんと凪いで、耳に届くのは、吹き抜ける風と、ラクダが砂を踏みしめる音、持ち物が揺れてそれぞれに当たってぶつかり合う音、そして夢中になって切るシャッターの音だけです。
首をめぐらすと、一面砂、砂、砂。少し傾いた太陽の光が、砂の大地を赤っぽく照らします。空が限りなく青く、どこまでも突き抜けてゆくようでした。
どのくらい進んだでしょうか。時間の感覚は、もはやありません。
平らかになった場所で、一度休憩。
ここから足元が危うくので、ラクダの負担をなくすためしばらく徒歩で進みます。
砂の上を徒歩でしばらく進みます。
柔らかく沈む砂の上を歩き始めてすぐ、靴の中は砂でいっぱいになりました。
体感として、10~15分くらい進んだでしょうか。一面砂の景色の中に、ぽつんと、建物が集まる所が見えてきました。
そこは、砂漠ツアーのために作られた、小さな小さな集落です。
砂漠の真ん中に佇むいくつかのテント。そこが今夜の宿です。
石でできた建物が一つと、テントが4つ並んでいます。
そのうちの一つのテントの中に入ります。テントのまわりは黒い布で覆われていて、太陽の熱を中に吸収します。テントの中に入ると、もわっとした熱気が全身をおそいました。扉となる布部分を開け放して、熱が逃げるまで、外で待機です。
裸足で砂の上を歩くと、表面の砂は暖かくて気持ちがいいですが、少し砂を掘り起こすと、その砂はひんやりとしていて踏むには冷たいです。
昼食の時間です。
石造りの建物がキッチンになっており、ガイドさんがそこで調理してくれます。
サラダと、トマト味のスクランブルエッグのようなものが出てきました。
この卵料理はモロッコでは定番です。フライパンのまま食卓に並べ、パンと一緒に食べます。
昼食後はひたすら自由時間です。
テントは周りを砂丘が囲んでいるので、夕陽を見るために目の前にそびえる砂丘を上ります。砂丘を上るのは想像以上に体力が必要です。そうは見えないけどかなりの急こう配な上に、砂に足を持ってかれるので一歩一歩進むのが大変です。
誰の足跡も残っていない、きれいな砂紋の上、ゆっくりと一歩一歩足跡を付けていきます。
少しずつ高度があがると、砂の景色も徐々に変わりはじめました。
そこには、絶景が広がっていました。
なんだか、クレーターのようです。
丸く窪んでる箇所を見ると、ふと”蟻地獄”を思い起こします。
すごい景色が広がっています。
地球の壮大さ、偉大さを、今目にしています。
砂の上に腰かけて、風に吹かれて、この贅沢な景色をたっぷりと堪能しましょう。