庭園の宿 石亭
photo by ikyu.com
日本を代表する観光地「厳島神社」。その名勝を有する宮島と、風光明媚な海峡である大野瀬戸を挟んだ本州側に旧大野町(現廿日市市)があります。
この町の経小屋山の裾野に広がる地区は、ちょうど50年前に温泉宿が誕生し宮浜温泉となりました。宮島から最も近い温泉地という立地もあり、知る人ぞ知る温泉地として賑わいを見せています。
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その宮浜温泉の海岸から経小屋山登山口方面へ進んだ先にあるのが「庭園の宿 石亭」です。
敷地は石垣に囲まれ、建物は低層を基本としているため、外からは中の様子はほとんど覗えません。石畳のアプローチを抜け、昔の豪商もしくは殿様の邸宅の様な母屋(本館)に入ります。
最近の建物ではありますが、レセプションもまさに明治・大正期の豪邸といった趣です。しかし調度品の配置や、灯りの設計に配慮し現代的なセンスも備わっています。
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御影石の廊下を案内され、母屋のラウンジに向かいます。すると視界が開け、大きなビューウィンドウの先に宿の庭園と大野瀬戸、その先に宮島が望める絶景が現れます。
このラウンジは宿自慢のビューポイントですが、この宿は地域の方々がハレの日に集う料亭でもあるため休日は混み合うこともあります。
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そんな時こそ、この宿のアイデアが生きてきます。案内されるがままにラウンジの床下に向かうと、そこは土壁に趣のある椅子達が置かれた、居心地の良さそうな「床下サロン」になっています。
先ほどの喧噪とは異なる静かな空間で、目線の高さに庭園が広がり旅の疲れが癒やされます。
お部屋は全12室。宿泊専用の離れ7軒と、四阿(あずまや)とは名ばかりで2階を備える瀟洒な庵が2軒、特別なもてなし用にと近年改装された別邸が1軒、そして母屋2階の3部屋です。
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すべて和風を基本としていますが、そのバリエーションは多岐にわたります。
お屋敷風の「肱山」「聖山」、高床式の戸建てで、二間続きのビューウィンドウからお庭が一望できる「大観」、この宿のシンボルでもあり、小さな二階にビューバスを備えた「老松」などなど様々です。
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母屋の3室も様々な工夫が凝らされていますが、こちらは特に窓辺からの眺望に優れています。
どのお部屋もアイデアを凝らした調度品と、気持ちのよいお風呂が備わっています。2連泊して異なるお部屋が楽しめるプランも用意されているのも嬉しい配慮です。
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自慢のお庭は、離れやあずまやに囲まれた緩やかな斜面に設けられています。
背後の経小屋山を借景に、池や小川、四季折々の花々を愛でながら散策を楽しめます。ここでもこの宿のアイデアが光ります。
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散歩の途中、「大観」の床下を覗いてみましょう。そこには「凡々洞」と呼ばれるサロンと「吸吐文庫」と呼ばれるライブラリーがひっそりと設けられています。
「凡々洞」には居心地のよい一人がけソファやアンティークの椅子が並びます。
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この場にふさわしい飲み物もお願いできますので、この隠れ家のようなスペースでゆったり過ごすのもよいでしょう。庭の片隅には「草々亭」と呼ばれるお休み処もあります。
煎茶、エスプレッソはもちろん、冷酒やシャンパンも置かれ、庭越しの経小屋山を堪能できます。そのほか、あずまやの「居中庵」や「安庵」、貸し切り風呂としても使われる「蓬莱亭」も宿泊ゲストが居なければくつろぎのスペースとして利用することができます。
夕方になれば、先のラウンジも静寂を取り戻していることでしょう。こちらも朝はコーヒー、夕方は日本酒、夕食後はぜんざいをサービスしていただけます。
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大浴場は小ぶりではありますが美しく整った空間。
昨年改装されたそうですが、内風呂の木のぬくもりと、岩露天風呂の爽快さが、宮浜温泉のさらりとした泉質と共に楽しめます。
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夕食は、ライトアップされたお庭などを眺めながらお部屋で頂けます。
瀬戸内の魚介を中心に、懐石料理を基本としたお料理が一品一品お部屋に運ばれてきます。夏は小鰯、冬は牡蠣(牡蠣料理は別注)など、すべてが厳選された素材と技が光る美味この上ない逸品です。
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この宿の出自は穴子料理の名店とのことで、お料理のいずれかに名物の穴子があしらわれます。どのタイミングで饗されるかもお楽しみの一つです。
ワインセラーも持ち、ワインに一家言ある宿の主おすすめの一本と共に味わいましょう。
朝食もお部屋でいただきます。地元産のリンゴジュースでお腹を目覚めさせたら、趣のあるお鍋で供されるお味噌汁と共に、一手間かかった湯豆腐、焼き魚などで朝から口福に満たされます。
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このお宿はアイデアが満ちあふれています。とにかくゲストに愉しんでもらいたい、寛いでほしいとの想いがその源泉です。
“寛ぐことに忙しい”そんな特異な経験ができる宿では無いでしょうか。
名物の甘味「銀つば」や、「あなごめし うえの」のお弁当もこの宿ならではのお土産です、忘れずに。
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記事提供・協力:一休.com