京都の生活空間と観光名所が同時に体験できる町家の1軒宿【八坂翠仁花】

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photo by ikyu.com
東大寺通は京都駅の新幹線側から、市の中心部を迂回して南北を結ぶ幹線です。その最も賑やかな祇園の手前、東山安井交差点を東に折れ河原通に入ると、静かで京都らしい風情の町並みにグラデーションしていきます。
 

この河原通に面した、上弁天町の中心付近に「八坂翠仁花」が佇んでいます。京都特有の町家での宿泊体験を提供するこの宿は、1組2名から最大6名までの1軒貸切タイプの贅沢なお宿です。
 
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八坂神社へ徒歩5分、清水寺へも二年坂、三年坂を経て15分ほどでたどり着きます。宿前の小道を東に百歩も歩かず、風情豊かな石塀小路に入り、さらにつづら折りに抜けると、そこは人気の高台寺です。
 
宿の3軒隣はゴマと生麩の専門店、石塀小路に入らず南に曲がれば、くずきりの銘店が老舗らしい店構えを見せています。
 
京都ならではの生活空間と観光名所が混在した場所に、暮らす様に滞在できる。それがこの宿の最大の魅力でしょう。
 

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「八坂翠仁花」は“新築”です。「土・石・紙・木」 の素材と伝統の技を生かし、町家の神髄を再現しています。宿泊すること自体が京都ならではの伝統文化の体験に繋がります。しかも、ただ再現するだけでは無くリゾートホテルにも通じるラグジュアリーさと、快適さを併せ持っています。
 

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玄関を入ると、飛び石が敷かれた土間と帳場が設けられ、職住一体だった京町家ならではの本格意匠で笑みがこぼれます。土間には和傘専門店の番傘風ペンダントライト「古都里-KOTORI-」が優しい光と影でアクセントを加えています。
 

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その先のメインのお座敷で、西出製茶場の緑鮮やかなお茶と共に、お待ち頂いていた宿のスタッフのレセプションを受けましょう。その後はスタッフも退室されチェックアウトまで、この宿はゲストだけの空間になります。
 
お茶を頂いたお座敷は、町家で言えば「店の間」と呼ばれる接客用のサロンでしょうか。間接照明の柔らかな光が部屋を包み込み、インテリアとして障子があしらわれます。可愛い座布団、窓から望む坪庭の風情も併せ、モダンさと和の佇まいが融合する楽しいお部屋です。
 

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どのお部屋からも望める坪庭は町家の特徴の一つです。本来の機能は採光や風通しですが、古来多様な動植物を育む都市の中の貴重な緑地として機能していたそうです。
 
その面積は狭小ですが、街全体で見ると無視できない「都市の森」として機能していたそうです。そんな役割にも思いをはせながらシンプルに整えられたお庭と、優しい設計のライトアップを楽しみましょう。
 

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坪庭横、階段ホールを兼ねた渡り廊下を渡った先には、4.5畳のお部屋、パウダールーム、浴室が設けられています。
 

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浴室では大きな信楽焼の湯船に目を奪われます。五右衛門風呂を思わせる浴室全体の構造、檜の壁、腰窓など、新しいのに懐かしさを感じる設えで、ゆったり寛ぎの時間を過ごせます。
 

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2階には6畳と、6.6畳の和室が二間、壁の色合いで個性を変えて楽しませてくれます。お手洗いも1階と2階に用意され、全4部屋のプレミアムスイートクラスの広さを、何人でどう使うかはゲストのアイデア次第です。
 

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夕食はゲストが自分で手配する必要がありますが、周囲には銘店がひしめいています。私が知る限りでも徒歩圏内にミシュラン星付きが数店、三つ星の有名料亭も徒歩10分以内です。自宅から、ぶらりと訪れるかの様に銘店の暖簾をくぐるのも面白いかもしれません。また京都ではメジャーな「仕出し」の文化を体験するのも良いアイデアです。
 

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朝食は、コーヒー通にその名が轟く「前田珈琲」高台寺店のモーニングセットが楽しめます。徒歩3分もかからない距離なので、ホテルや旅館で朝食会場に向かうより近いかもしれません。開店直後であれば、静かな店内と珈琲の香りを堪能できるでしょう。
 

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この宿は、町家という京都の大切な文化を、ゲストに実際に使ってもらい、感じてもらおうという高い理想と、百年、二百年とこの場所に歴史を刻もうという覚悟を持って造られました。この宿に宿泊することは、もしかしたら京都の歴史に足跡を残すことかも知れません。
 

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<宿の基本情報>
八坂翠仁花 (京都府/東山) [全1室] 所在地:〒605-0822 京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る上弁天町428-4
アクセス:JR京都駅より京都市営バス206系統「東山安井」下車 徒歩約3分
参考料金:1泊2名 54,000円~ ※2017/1 時点
 
記事提供・協力:一休.com

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