photo by my Life, the Universe and Everything
モスクの役目を終え、長年敷かれていたカーペットが取り払われると大理石の床が現れました。また、白漆喰で塗り隠されていたキリスト教大聖堂時代のモザイク画が数多く発見されるようになります。そのためイスラム的なものとキリスト教的なものが混在する、不思議な空間になったのです。アヤ・ソフィアの2つの時代の姿を同時に見ることができるのは、現在の私達だけ。そう思うと感慨深いものがあります。
イスラム的なものとして挙げられるのはやはり「ミフラーブ」。ミフラーブとはイスラム教の聖地メッカの方角を示すアーチ型のくぼみのことです。大変重要な役割を持っているため、通常は礼拝堂の正面中央に建設されるべきものです。しかしアヤ・ソフィアは元はといえばキリスト教の大聖堂として建てられたもの。モスクに改修時に付け加えられたミフラーブは微妙に中央から右側にずれしまいました。
印象的な黒い大きな円盤は6つあり、アラー、ムハンマド、アラーの使徒たちの名が刻まれています。直径は7.5mもあります。
キリスト教の要素が見られるのは、漆喰の下から発見されたイコン、モザイクの数々。特に最高傑作と称される「ディーシス(請願)」に描かれたキリスト、マリア、ヨハネの3人の表情の豊かさは必見です。キリストの顔が立体的に描かれていたり、窓から差し込む光を効果的に利用するような工夫がされているため、ビザンティン美術の最高傑作と言われています。1260年頃の作品とされています。
保存状態が良いのがこちらの「聖母子、ユスティニアヌス1世とコンスタンティヌス1世」。右に描かれているコンスタンティヌス帝がコンスタンティノープルの街を、左に描かれているユスティニアヌス帝がアヤ・ソフィアを聖母子に捧げている場面です。アヤ・ソフィア建築に大きく関わった2人の皇帝が登場するモザイク画。10世紀後半の作品とされています。